自動車学校に入学して必ず受けることになるのが、「技能教習」です。特にはじめての教習を前にしてとても緊張してしまう方も多いのではないでしょうか。事前にどんな教習の内容なのかを事前に確認しておけば、ポイントも把握でき安心して教習に臨めるようになります。そこで今回は、自動車学校の技能教習について解説していきます。どういった流れで運転をしていくのか、受講する際の注意点にも触れていますので、これから自動車学校に入校される方はチェックしておきましょう。
目次
技能教習とは
自動車学校における技能教習とは、運転技術を身に付けるために自動車学校内のコースや車を公道で運転する教習のことです。本免許取得までの技能教習は、自動車学校内のコースで運転の基礎を学ぶ「第一段階」、実際に公道を運転しながら実践的なスキル習得を目指す「第二段階」の2種類に分かれています。
技能教習は一時限あたり50分で、本免許試験を受験するまでに、以下の決められた時間を教習として行う必要があります。
・第一段階:AT限定の場合は12時限、MTの場合は15時限
・第二段階:MT・AT問わず19時限
各時間割ごとに、S字・クランクや縦列駐車・方向転換といった習得目標の技術が各項目ごとに定められており、教習が終わると次のカリキュラムへ進んでいきます。
技能教習の流れ
ここからは教習の「第一段階」「第二段階」について、それぞれの流れや学ぶ内容を解説していきます。
第一段階の流れ
第一段階での技能教習は、基本的な運転スキルの習得を目指すとともに、第二段階で公道での教習を実施するための準備期間でもあります。自動車学校内で実施される第一段階では、以下の項目を運転の中で行えるような技術レベルの習得を目指しています。
・安全確認と正しい手順で運転操作をできる
・運転する車の走行位置が把握でき、道路形態に合わせて速度と進路が選択できる
・自動車学校コース内の道路交通状況を、正しく認知・判断ができ、状況に合わせた適切な運転操作を円滑に行うことができる
・交通状況に配慮しながら、法規に則った基本的な走行ができる
これらの項目は、時限ごとに設定されている運転スキル課題の中で養っていきます。第一段階でのAT限定は12時限、MTは15時限の中で安全運転にまつわる技術を習得していくのです。それぞれの教習が終われば、技能教習の習得状況を確認するみきわめ教習が実施されます。みきわめを問題なく修了することができれば、修了検定(技能試験)の受験が認められることになります。
以下は、大まかな技能教習の流れと時限ごとの課題項目の一例です。教習の進め方は自動車学校によって大きく違いますから、気になる方は入校に際して確認してみましょう。
<技能教習の流れと課題項目の一例(AT)>
・1時限目: ・車の乗り降りと運転姿勢
・自動車の機構と運転装置の取扱い
・発進と停止
・2時限目: ・車の乗り降りと運転姿勢
・自動車の機構と運転装置の取扱い
・発進と停止
・速度の調節
・走行位置と進路
・3時限目: ・速度の調節
・走行位置と進路
・時機をとらえた発進と加速
・4時限目: ・目標に合わせた停止
・カーブや曲がり角の通行
・5時限目: ・坂道の通行
・後退
・6時限目: ・クランクの通行
・7時限目: ・S字カーブの通行
・8時限目: ・通行位置の選択と進路変更
・障害物への対応
・9時限目: ・標識・標示に従った走行
・信号に従った走行
・10時限目:・交差点の通行(直進、左折、右折)
・見通しの悪い交差点の通行
・11時限目:・交差点の通行(右折)
・見通しの悪い交差点の通行
・踏切の通過
・急加速と急発進時の措置
・12時限目:・みきわめ
MTの場合は、上記に3時限の教習が追加され、AT車の特性理解と運転方法といった教習課題を習得することになります。
第二段階の流れ
第二段階では、本免許取得に向けてより実践的な運転スキルの習得を目指します。教習では実際に公道に出て運転を行うため、自動車学校内のコースに比べて信号や標識も多く、状況に応じて情報を読み取り判断しなければなりません。第二段階の技能教習では、以下の項目を身に付ける目的で行います。
・道路交通状況から、危険を予測した運転操作ができる
・他の交通に配慮しながら、法規に則った運転操作ができる
・自主的に経路を設定し、他の交通に配慮しながら主体的な運転ができる
・高速道路における安全な走行ができる
第二段階においても、第一段階同様に時限ごとに課題が設定されています。第一段階との違いは、後半になるにつれて自分で経路を設定して運転することが多くなっていくことです。
以下は、第二段階における大まかな技能教習の流れと時限ごとの課題項目の一例です。第一段階同様、教習の進め方は自動車学校ごとに異なりますので、ご自身の通う自動車学校の流れについて事前に確認しておきましょう。
<技能教習の流れと課題項目の一例>
・1時限目: ・路上運転にあたっての注意と路上運転前の準備
・交通の流れに合わせた走行
・適切な通行位置
・2時限目: ・交通の流れに合わせた走行
・適切な通行位置
・3時限目: ・適切な通行位置
・進路変更
・4時限目: ・進路変更
・信号、標識・標示等に従った運転
・交差点の通行
・5時限目: ・交差点の通行
・歩行者等の保護
・6時限目: ・歩行者等の保護
・道路及び交通の状況に合わせた運転
・7時限目: ・道路及び交通の状況に合わせた運転
・8時限目: ・駐・停車
・9時限目: ・方向変換、縦列駐車
・急ブレーキ
・10時限目:・方向変換、縦列駐車
・急ブレーキ
・11時限目:・危険を予測した運転
・12時限目:・危険を予測した運転
・13時限目:・自主経路設定
・14時限目:・自主経路設定
・15時限目:・自主経路設定
・16時限目:・特別項目
・17時限目:・高速道路での運転
・18時限目:・自主経路設計
・19時限目:・みきわめ
技能教習の成果をみる検定の内容は?
では、技能教習で培った運転技術を試す検定にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的には、第一段階終了後に実施され、仮免許取得のために行う「修了検定」、第二段階終了後に卒業試験として行われる「卒業検定」の2つです。どちらも技能教習で行った項目が試験範囲であることに変わりはありませんが、採点方法や試験項目に違いはあるのでしょうか。ここからは「修了検定」と「卒業検定」のそれぞれについて解説していきます。
採点方法
修了検定、卒業検定のいずれも採点方法は、減点方式になっています。検定開始時に持ち点100点からスタートし、検定終了時に70点以上を保持することができれば合格です。減点対象の項目は、信号無視や一時停止、安全確認など、技能教習時に習ったことで構成され、減点は5点・10点・20点・危険行為の4種類があります。採点は同乗する検定員によって行われます。
修了検定内容
修了検定の主な内容は以下の通りです。
・自動車学校内のコースを周回、直線道路、障害物、カーブ
・S字、クランク、坂道発進、踏切通過
・交差点の通行
・発進・停車
修了検定は、自動車学校内のコースを10〜15分ほど運転する形で行われます。走行する順路は、検定員から指示がありますから必ず覚える必要はなく、もし指示された道から外れたとしても最短で経路復帰していただくので特に問題はありません。ただし、元の道に戻る時間も採点範囲に該当しますから、もしも減点対象行為をしてしまうと減点となります。心配な場合は、事前に通告される検定コースをおおよそで覚えておき、検定中に道順で不安を感じることの無いようにしておくことがおすすめです。
卒業検定内容
卒業検定は、修了検定とは異なり、自動車学校内のコースと路上の2箇所で検定が実施されます。路上コースの時間は、20〜25分ほど、自動車学校内のコースは5分ほどと、計30分の内容です。自動車学校内では、縦列駐車もしくは方向変換のどちらかを行います。路上では、修了検定と同様に検定員からコースの指示を受けながら走行します。道順を間違えてしまった場合も修了検定と同様です。
路上の走行で大切なのは、道路環境の変化に応じて適切に判断をすることです。自動車学校内を走行することとは異なり、路上では同じコースだとしても運転するタイミングによって交通量や信号のタイミングなど、状況は変わってきます。自動車の走行ルールをきちんと頭に入れた上で、検定に臨むことができるよう日々の技能教習から意識しておきましょう。
技能教習で注意すべき点
ここからは技能教習を受講する上で、注意すべきポイントをご紹介します。
服装
技能教習を受ける際は「本人確認の可否」と「運転に適しているか」の2点をクリアできる服装で臨むことが重要です。運転に適していない服装やアクセサリーを身に付けていると、事故を起こす危険性が高くなります。サンダルやクロックスを履いていれば、ペダルの誤操作につながる可能性がありますし、帽子は視界が狭まる要因になります。また、カラコンなどを付けていると、本人確認がスムーズに行えないので、教習を受ける際は外しておきましょう。自分の格好に少しでも不安がある場合は、事前に自動車学校に確認しておくことをおすすめします。
眼鏡・コンタクトレンズを忘れない
技能教習時は、自動車学校へ入校した際に調べた視力をもとに、一定の視力が保たれた状態でなければ運転はできません。
普通自動車免許の場合の合格基準は、以下の通りです。
・両眼で0.7以上
・一眼それぞれが0.3以上
・一眼が0.3未満の場合は、もう片方の眼の視野が左右150度以上、かつ、視力が0.7以上
裸眼で上記の条件を満たせない場合は、自分が普段使用しているコンタクトレンズや眼鏡で視力矯正して運転することになります。矯正によって視力条件を満たした場合は、運転免許にもその旨が記載され、運転時の着用は義務になります。
眼鏡やコンタクトレンズの着用義務は、技能教習においても例外ではありません。入校時の適性検査のなかで視力矯正として眼鏡やコンタクトレンズを使用したのであれば、技能教習時にも持参する必要があります。忘れた場合は残念ながら技能教習を受講することはできません。該当する人は、出発前にしっかり確認することを忘れないようにしましょう。
指導員の話をしっかり聞く
自分が車を運転している間、指導員は助手席に座って指示やアドバイスを行います。自分の運転に対しての客観的な意見は、運転スキルを向上させる上で非常に重要です。指導員からのアドバイスをよく聞いて覚えておき、次回の教習に活かしていきましょう。
周囲をよく確認する
運転中は安全を確認するためにも、周囲の情報や状況をよく見て適切な運転判断ができるようにしましょう。周囲確認をミラーで行う、目視で歩行者がいないか、標識を見落としていないかしっかり見ながら運転することが大切です。
肩の力を抜いて技能教習に臨みましょう
今回は、自動車学校の技能教習について解説しました。技能教習ではいくつもの運転スキルを習得する必要があります。はじめてのことだらけで緊張するかもしれませんが、少しづつ慣れていきリラックスして運転技術を身に付けていきましょう。東山自動車学校では、運転技術習得に向けて丁寧な自動車運転指導を行っています。内容について、いつでもお気軽にお問い合わせください。